前回の『オーナー社長が抱える経営のモヤモヤを晴らす方法③仕分けした課題に優先順位をつける』では、とにかく書き出し、仕分けした課題に優先順位をつけていくことをお伝えしました。本稿では、優先順位をつけた課題をスケジューリング(時間割化)していく方法を解説します。
課題に優先順位をつけた後のステップは「スケジューリング」
課題をタスクまで落とし込み、優先順位をつけたら次はスケジューリング(時間割化)です。スケジューリングすることで、
・なにを
・いつ(いつまでに:締切)
必要であれば、
・だれが(だれと一緒に)
・どこで
といった具体化をしてスケジュール帳などに書き込んでいきます。人によってGoogleカレンダーでもかまいませんし、手帳など手書きでもかまいません。わざわざ新たなツールを使う必要はなく、普段から使い慣れたツールで十分です。
ちなみに筆者は、壁掛けカレンダー(1ヶ月分がわかるもの)に書き込んでいます。もともと書き込めるスペースは4~5行しかないのですが、家族の予定も同じカレンダーに書き込むのでほとんど書き込めない日もあります。それだけ予定(アポ)やタスクは厳選するようにしています。
スケジュール帳には商談や会議などの予定(アポ)しか入れていない人もいますが、タスク(資料作成、執筆、メール対応、電話対応、悩み事を書き出すことなど)も入れた方がタスクを行うための時間確保ができて良いでしょう。「何日の何時から何時まではこのタスクを行う時間」と、時間割をつくるイメージです。
課題やモヤモヤをタスク化する
スケジューリング(時間割化)する前には、課題やモヤモヤをしっかりとタスク化しておく必要があります。ちなみに課題とタスクの違いは、
課題=事象
タスク=作業
です。事象は、「だれだれが退職した」「資金繰りが悪化するかもしれない」などの出来事のこと。作業は、「求人広告を出す」「融資の借り換えをする」などの活動のことです。課題という事象を解決するための作業を遂行していきます。
課題を解決しなければ、日々のモヤモヤが晴れることはありません。すべての課題が完全に解消されることはなく、課題はタケノコのように次々出てくるわけですが、それから逃げずに一つひとつ解決するしかありません。
ですので、タスクとは「やらなければいけないこと」です。重要なタスクほど、朝イチで完了させるか、その日のうちに完了させた方が精神衛生的にも良いと思います。
課題やモヤモヤをタスク化する際は、以下のような箇条書きにしておいても良いでしょう。
●記載日
●課題タイトル
●課題内容の詳細
●対応方針と対応方法
●対応状況
●重要度
●緊急度
スケジューリングする際のポイント
スケジューリング(時間割化)しても、突発的にやらなければいけないことが生じて思うように進まないこともあります。スケジューリングする際は、以下のような工夫をしてみてください。
タスクを細分化する(スモールステップ)
スケジュールに落とし込む際は、タスクを大雑把に書き出すのではなく、細分化しておきます。曖昧なタスクはタスクではないので、「パっと一目で見て、なにをするのか具体的にわかる」ように書き出しておきます。第三者が見てもわかるくらいが良いですが、課題やモヤモヤはあまり人には見られたくないこともあるでしょうから、自分にしかわからない暗号を使っても良いでしょう。
大雑把なタスクですと、完了するまでに長い時間を要することになり、モチベーションが下がる可能性もあります。そのため、タスクをいくつかのステップに刻んでおきます。スモールステップで、いくつかのステップを踏むことで大きなタスクも完了するようにしましょう。
例えば、「資料を作成する」というタスクの場合、次のようなスモールステップを組みます。
資料の構成を考える
データを集める
結論の仮説を考える
データから現状と課題をまとめる
課題への対応策を立案する
結論と対応策の整合性を検証する
パワーポイントで資料作成する
必要な資料を印刷する
スモールステップを組み、タスクを細分化することで、各ステップ(プロセス)にかかる時間を予測しやすくなります。
各ステップの所要時間は余裕を持って見積もる
各ステップの所要時間を見誤ると、その時間内に完了できずにズルズルと先延ばしすることになります。そのため、少し長めに見積もっておくと良いでしょう。だんだんと見積もりの精度は上がっていきます。
あらかじめスモールステップを組んでおけば、所要時間の読みが大きく外れることはないでしょう。
次回以降、スケジューリングしたタスクを遂行する方法についてご紹介していきます。