同年代の人や毎日同じ人とばかり会っていると、次第に思考が凝り固まってきます。慣れた人間関係や環境は居心地が良いのですが、やがて成長は止まり、現状維持がモットーになってしまうかもしれません。現状維持は衰退のはじまり。意識的に、積極的に世代を超えて交流することで、現状が変わり、人生と会社を豊かにすることにつながるでしょう。
柔軟な思考を持たないことはリスク
脳はもともとネガティブな思考が大好きです。
「来期はどうなるだろうか」
「売上や資金繰りは大丈夫だろうか」
という不安は、会社経営をしていれば常に付きまとうことです。常にネガティブな思考とポジティブな思考が入れ乱れているのが経営者ですから、「安定」「ストック型ビジネス」という言葉には、どこか魅力を感じるかもしれません。確かに、経営基盤を強くすることはとても重要なことです。しかし、安定ばかりを追い求めると、脳は老化してしまうでしょう。
脳の若さをキープするためには、良質な刺激が必要です。その方法は例えば、自分が知らない世界の人と交流すること。自分が「歳を取った」と感じたら、ぜひ20代や30代の人たちと交流してみてください。若い人たちとの交流は、良い刺激をくれるでしょう。もしかすると、将来の後継者候補が見つかったり、一緒に働いてくれる人材が見つかるかもしれません。
話すときは、「若い人になにかを教える」という視点ではなく、対等な情報交換と考えた方が良いでしょう。上から目線では、当然ですが良い関係はつくれません。若い世代と積極的に関わって柔軟な思考を持ち続けることで、脳の老化というリスクを避けることができます。
若手起業家はベテランという人的資産を活かす
若手起業家たちも、同世代だけで集まるよりも、世代を超えた集まりに参加して刺激をもらうと良いでしょう。年上の経営者たちは、多くの経験と人脈をお持ちです。なにかやりたいことや実現したいこと、始めたいビジネスがあるなら、それも積極的に話すと良いでしょう。あっという間に必要な条件が揃うこともあります。
「似たことをやっている経営者仲間がいるから、紹介してあげよう」
「あの友人が協力してくれるはずだから、今度紹介してあげる」
「その事業を始めたいなら、こういう本を読むと良い」
「本気なら資金提供しても良い」
そんな風に、人を紹介してくださったり、ノウハウを教えてくださったり、親身に相談に乗ってくれる人も現れるはずです。恩をすぐにお返しできるかはわかりませんが、恩を忘れずにして、まずは感謝の気持ちをしっかり伝えましょう。やがて仕事で恩返しができれば理想的です。
世代を超えた複数のメンターを持つ
「メンター」と聞くと、ついついご年配の方をイメージしてしまいますが、メンターは必ずしも年上でないといけないわけではありません。それに、メンターは一人である必要もありません。
人はいろいろな人からの影響を受けて生きていますから、「あの人のこういうところを見習いたい」「あの人のこういうところをマネしてみよう」と、さまざまな良い要素を吸収すれば良いのです。
私がお世話になっていた教授は、だれに対しても対等に接する人でした。今では名誉教授になり、画家として画壇でも知らない人はいないくらいの人ですが、偉ぶることはありません。いつでもだれにでもフレンドリーで紳士的です。そんな教授は、学生のみなさんから刺激を受け続け、80歳近くなった今でも若々しく過ごしているように見えます。教授はよく「学生のみなさんと出会えることが楽しい。学生のみなさんから、多くを学ぶことができる」と語っていました。世代を超えて学べる人は、人生を豊かにすることができます。