経営

オーナー社長が抱える経営のモヤモヤを晴らす方法⑩ 社長の決断力を高めて迷いを減らす

会社の成長と成功を左右するのは、オーナー社長の決断力です。しかし、経営においては日々多くの選択肢や課題、今日やらなければならないことの数々に直面し、その中で正しい決断を下すことは容易ではありません。本稿では、社長がより効果的に決断力を発揮できるようになるためのヒントを紹介します。これにより、迷いを減らし、ビジネスを加速させることができるでしょう。

やらないことを決める重要性

ビジネスにおける決断力は、まさに会社の命運を握るものです。正しい決断が下されれば、成長機会をつかみ、競争優位を確立することが可能です。しかし、判断を誤ると大きなリスクを背負うことになります。

特にオーナー社長の場合、全体のビジョンや具体的な目標を描き、そのビジョンや目標に基づいた迅速かつ的確な意思決定が求められます。ビジョンや目標がなければ、たまたま来た案件や提案に乗っかることとなり、経営がブレます。決断は「断」の方が重要で、やらないことを決めるためにビジョンや目標を明確にする必要があるのです。そうしなければ、不毛な会議を何度もすることになり、自分の時間も相手の時間も奪うことになります。時間を奪うことは、資産を奪うことと同じです。

即断即決の罠

多くの社長が決断に悩む背景には、さまざまな要因が存在します。情報過多でなにを選ぶべきかわからなくなることや、リスクを恐れて決断を先延ばしにすることが代表的な例です。

また、周囲の意見に振り回されすぎることも、判断を曖昧にする原因となります。これらの要因を理解し、それらを克服するための対策を立てることが、決断力向上の第一歩となります。さまざまな人の意見を聞くことは大切ですが、決断するのは社長自身です。

加えて、即断即決にも注意が必要です。「成功者ほど即断即決」という謳い文句がありますが、あれは情報商材屋がクロージングに使うものでしかありません。大切なのは、数年後に振り返ったときに良かったと思える決断をすることです。

専門家を盲目に信じてはいけない

正確な決断を行うためには、信頼できる情報源から必要なデータを迅速に集める能力が不可欠です。その上で、得られた情報を客観的に分析し、最も有効な選択肢を見極める力が求められます。

例えば、社内外の専門家からのフィードバックや市場調査、過去の実績データを活用することで、より精度の高い決断が可能となります。「専門家」と言っても、本を出していれば良いとか、大学教授だから良いとか、有名なコンサルファーム出身だから良いというわけではありません。専門家を盲目に信じるとロクな結果になりませんので、注意してください。

悲観的にリスクを検証する

どのような決断にもリスクはつきものですが、そのリスクを過度に恐れることなく、適切に評価し管理することが重要です。リスク評価の際には、最悪のシナリオを想定し、そのリスクが発生した場合の影響を予測します。その上で、リスクを最小限に抑えるための対策を講じることが求められます。

「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という言葉がありますが、計画の際は悲観的な方が良いでしょう。机の上でどんなに悲観的になっても、1円も損はしません。

チームメンバーを委縮させない

経営における重要な決断を行う際には、チームメンバーの意見や洞察を活用することが大切です。しかし、最終的な決断は社長が責任を持って行ないます。効果的な意思決定には、オープンなコミュニケーションと、チーム全員が意思決定プロセスに積極的に参加する環境が必要です。

普段からガミガミと文句ばかり言う人に対して、意見を言おうと思えるでしょうか。よく「うちの社員は意見を出さない」という社長がいますが、それは社長の日々の行いの結果でしかありません。普段から人を委縮させるコミュニケーションを取っているという証です。

また、「朝礼で自分の考えや会社の方針を伝えている」という社長もいますが、朝礼の話など社員は聞いていません。その日の業務のことを考えているか、ランチのことを考えているのです。1対多数のコミュニケーションはほとんど伝わっていないと思って、マメなコミュニケーションを疎かにしないようにしましょう。

転んでもただでは起きない精神で

すべての決断が成功するわけではありません。失敗を恐れることなく、そこから学ぶ姿勢が重要です。失敗から得られる教訓は、次の決断をより良いものにするための貴重な資源となります。

失敗をポジティブに捉え、改善のためのプロセスを取り入れることで、決断力をさらに強化できます。成功には法則がありませんが、失敗には法則があります。「これは以前もあったような…」とデジャブ的危機回避アンテナを貼れるようになれば、失敗を避けることができるでしょう。

リスク回避のために読んでおきたいのが、小島幹登さんの著書『ある日突然危機に!小さな会社に潜む経営の「落とし穴」』です。この本には、知っていれば避けられるリスクがたくさん書かれています。

ある日突然危機に!小さな会社に潜む経営の「落とし穴」(小島幹登 著、近代セールス社)

怪しい投資勧誘、家族や社員、ビジネスパートナーとの人間関係、法令違反、体制の不備…などなど。中小企業やその社長を危機に陥れるさまざまなリスクを、「経営の落とし穴」として紹介してくれています。会社を永続させたい社長は、必ず読んでおいてください。

中島 宏明

中島 宏明

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経営者のゴーストライター

2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。

暗号通貨草創期からの投資家仲間を通じて、草創期からの投資家しか知りえない暗号通貨に関する情報を取得している。

現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島でアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースで、投資や新時代の働き方をテーマに連載中。

連載一覧 https://news.mynavi.jp/author/12228/

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