経営に原理原則があるように、投資・資産運用にも原則があります。「王道」と言い換えても良いかもしれません。短期的に利益を得ようという人が案外多く、それが要因となってせっかく築いた財を失うことになります。そうならないよう、投資・資産運用の原則をぜひ知っておいてください。
投資のプロでも市場平均に勝ち続けるのは難しい
個別株や個別案件に投資するよりも、投資信託などの金融商品に投資する方が安心感があるという人もいらっしゃるでしょう。投資信託は大きく分けると、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類に分類することができます。
インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIXといった指数に連動するように運用目標が設計された投資信託です。一方のアクティブファンドは、指数を上回る、または指数に捉われずにリターンの獲得を目指す投資信託です。
少し古い資料ですが、2016年に発表されている「SPIVA®U.S.Scorecard」によれば、アメリカ大型株の代表的なインデックスである「S&P500」と「アメリカ大型株に投資するアメリカ国内のアクティブファンド」を比較してみると、2016年末までの5年間では88.30%が、10年間では84.60%が、15年間になると92.15%がインデックスよりも下回っています。つまり、投資のプロが運用するアクティブファンドでも、長期的にはインデックス(市場平均)に勝ち続けることは困難ということです。
読んでおきたい『投資の大原則』
インデックスファンドの優位性について書かれた書籍に、『投資の大原則 人生を豊かにするためのヒント(バートン・マルキール、チャールズ・エリス 著、鹿毛雄二、鹿毛房子 翻訳)、日本経済新聞出版』があります。バートン・マルキールは『ウォール街のランダム・ウォーカー』でも知られ、チャールズ・エリスは『敗者のゲーム』でも知られる著者です。
『投資の大原則 人生を豊かにするためのヒント』の5つのポイントは、
・若いうち貯蓄を始めて、定期的に続けること
・会社の福利厚生や国の退職に向けての制度を活用すること
・市場全体に投資するコストの低い「インデックスファンド」で資産分散を図ること
・自分に合った資産配分を維持するために年1回見直すこと
・自分に決めた投資方法を守り、長期投資を心がけること
で、投資・資産運用をするうえでの基本ルールについては以下のように書かれています。
【9つの基本ルール】
・お金は若いうちから定期的に貯めよう
・会社と国に資産形成を手伝ってもらおう
・不時の出費に備えて現金は用意しておこう
・保険をかけているか確認する
・分散投資をする
・クレジットカードのローンは使わない
・短期運用への衝動を無視しよう
・低コストのインデックスファンドを使う
・オーソドックスな分野に注目
普遍的な原理原則ですので、投資や資産運用を検討している方、すでに投資や資産運用をしている方にもぜひ知っておいてほしい内容です。
投資・資産運用のことが頭から離れないなんて虚しい
長期的にみれば、投資・資産運用は原則に従うのが効率が良いと言えるでしょう。NISAやiDeCoのような制度もありますので、
・つみたてNISAを年40万円×夫婦2人で年80万円
・子どもがいれば、ジュニアNISAを年80万円×子の人数(ジュニアNISAは2023年まで)
・まだ若ければ、iDecoを夫婦で。会社員なら月2.3万円×2人
制度を活用するだけでも、夫婦2人・子ども2人であれば月25万円を資産運用に回すことになります。ジュニアNISAは2023年までしかできませんが、つみたてNISAとiDeCoだけでも夫婦で月11.2万円です。この金額を月々資産運用に回すことは難しいと思うかどうかはご家庭によりますが、10年、20年と長期で続ければまとまった資産になります。
投信の銘柄は、全世界株式や全米株式などのインデックスファンドが良いでしょう。毎月11.2万円以上の余裕資金があるなら、投信への投資を増やすか、ビットコインやイーサリアムなどのメジャーな暗号資産をドルコスト平均法で買い増していくのも良いと思います。
すでにまとまった資金があるなら、投信や暗号資産をドルコスト平均法で買うか、アメリカやシンガポール、ロンドン、パリ、東京などの世界都市の不動産を買うのも王道です。世界都市の不動産は資産価値が下がりにくく、インカムゲインを得られるからです。
これで長期放置すれば、資産運用は終わり。あとは余計な投資話に乗らないことです。
普段から常々投資や資産運用について考え、頭から離れないなんてプロの投資家でない限り虚しいことなのです。仕事や趣味として取り組み、投資や資産運用を楽しんでいるのであれば良いのですが、多くの人にとっては投資や資産運用は人生を豊かにするための手段にすぎません。築いた財産をどのように使い、人生を過ごすかの方が大切でしょう。