先行きの見えにくいVUCAの時代。改めて知っておきたいのが、物事の原理原則や普遍的な真理です。過去の偉人たちや数々の事業・会社を立ち上げ、成功させてきた創業経営者たちの言葉には、そんな原理原則と真理がたくさん含まれています。ベストセラー作家としての顔も持つ江上治の数々の著書のなかから、「江上治が改めて伝えたいメッセージ」として抜粋してお伝えします。
江上治著『一生かかっても知り得ない 年収1億円人生計画(経済界))』の内容を抜粋、一部編集しております。
「お金は人が運んでくること」を知る
年収1億円を実現するためには、「お金は人が運んでくる」という事実を知ることが重要です。
多くの人は、「自分の仕事の技量や技術を上げれば仕事がうまくいく。稼ぐことができる」と勘違いしています。どんなに技量や技術があったとしても、それを評価してくれる人がいなければ、利益は出ません。あくまでも重要なのは、他者評価であるということです。
お金は、義理や人情がからんでいます。例えば、困っている経営者に手を差し伸べれば、相手は恩を返そうとしてキーパーソンを紹介してくれたり、役立つ情報を教えてくれたりします。ギブアンドテイクの関係が基本になるわけです。
ビジネスは、人の力が介在して成立しているものです。中でも、有力者や資産家に評価されることは重要で、年収1億円クラスは自分の力だけでは上がっていけないため、協力者が不可欠になってきます。有力者と出会い、「応援してやろう」と思ってもらえるかどうかです。
有力者に応援してもらえるようになれば、効果的な仕事の仕方やキーパーソンを紹介してくれたり、役立つ情報を教えてくれたりします。場合によっては、投資してくれるかもしれません。さまざまな可能性が開けてきます。
有力者は「人間性そのもの」を見て判断する
私が新卒で入社した損保会社の時代に出会った、ある銀行の副頭取は、今も心の恩師であり、人生を好転させる出会いでした。
当時私は、「3年以内に全国1位になる」と社内で宣言していて、達成できなければ退社しようと考えるくらい固い決意を持っていました。売り上げを上げるためには、お金が集まる銀行への営業が一番だと考えて、毎朝、各銀行を回っていました。たまたま副頭取の目に留まったようで、役員室に迎え入れてもらう機会を得たのです。
私は、率直に事の次第を口にしました。率直さが気に入られたのか、その銀行の各支店長、政治家、地元の経済界の有力者などとの縁を取り持ってくれました。
副頭取とその後も交流は深まり、
「君はエリートじゃない。チンピラみたいなものだから、がむしゃらにやったほうがいいよ。人の弱点を徹底的につく、ケンカマーケティングで行きなさい」
というアドバイスもいただき、ありがたく受け止めました。それ以来、ケンカマーケティングが私の営業スタイルになっています。
副頭取からの紹介やサポート、副頭取直伝のがむしゃらな営業が効いて、結果、年間全国1位を達成することができました。副頭取との出会いで、私の人生は好転したのです。
では、有力者が重視することは何なのでしょうか?
仕事の技能や技術ではなく、彼らは人間性そのものを見ています。こだわりや思い、継続的にやり遂げられる一貫性。「こいつは何かやるかも」と思わせる期待値。誠実さも、その範疇に入ります。いずれも、人間としての基本の部分なので、どう取り繕うとしても取り繕うことはできません。
さらに、有力者ほど観察眼が鋭い。一見豪快そうに見えて、神経が実に細かいのです。ある事態が起きたとき、どのように反応するのか。相手を厳しくチェックしています。あなたの行動は見られていることを知っておいたほうがいいでしょう。