先行きの見えにくいVUCAの時代。改めて知っておきたいのが、物事の原理原則や普遍的な真理です。過去の偉人たちや数々の事業・会社を立ち上げ、成功させてきた創業経営者たちの言葉には、そんな原理原則と真理がたくさん含まれています。ベストセラー作家としての顔も持つ江上治の数々の著書のなかから、「江上治が改めて伝えたいメッセージ」として抜粋してお伝えします。
独学の手法を知り、自律する
今はなにかを学ぼうと思ったら、動画や書籍などで、ほとんどお金をかけずに学ぶことができるようになりました。しかも学習の進め方やコツなどもほぼ無料で公開されていたりして、だれかに指南を受けなくても効率的に学習を進めることができます。
それなのになぜ、学校や講座が未だにビジネスとして成り立つのでしょうか?
それは多くの人が「独学の手法」を知らないから。
なにかを学ぼうとしても、しばらくしたらついスマホに手が伸びてしまったり。思ったほど成果を感じられなくて、モチベーションがなくなってしまったり。
これらの解決策を求めて、人は学校や講座に参加します。学習環境を買って、そのシステムに自分を組み込めば、いやおうなく前に進むことができる(あるいはそう感じる)からです。
学校や講座に通うことで、学ぶこと以外に仲間ができたり、そこからもっと世界が広がることもあるでしょう。
しかし、自分がなぜ独学でそれができないのかも同時に考えてみてほしい。
自分で自分の望む方向に行けない理由は?
自分の集中力が途切れてしまう理由は?
誘惑に負ける理由は?
モチベーションに左右される理由は?
これらを知り、解決する行動を自分で組み立てていけることこそ、自分が望む人生や自分像に近づける最短の道です。
一流ほど「危機感」を忘れない
成功者の声を実際に聞いてみると、驚くほど現状への危機感が高い。
例えば、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文CEOは、かつてインタビューで
「変わらないとビジネスは死ぬ。成長しないと死んでしまう。だから現在でも、女性はどういうものを買っているだろう。5年後にはどのように消費者は行動しているだろうと、絶えずお客様の動向を分析し、新しい商品やサービスを次々と打ち出している」
と話していました。
セブンイレブンと言えば、現在でも業界一位を走るコンビニであり、そのビジネスが死んでしまうとは傍目からは想像できませんが、鈴木会長はそんな状況でも「いつでも死んでしまう可能性がある」と策を練っているわけです。
拙著『年収1億円思考』という本が売れたときに、ある人にこう言われました。
「本が売れたときが一番やばいからな」
経営者やコンサルタントなどが本を書いてたまたま売れると、すっかり調子に乗って本業を疎かにし、結果良かったはずの仕事を急降下させることにつながっていく人をたくさん見てきました。
スターと呼ばれる人でも、一流の人は決してちやほやされることを良しとしない。
急降下してしまえば、今までちやほやしていた人たちがあっという間に蜘蛛の子を散らすように消えてしまい、なんの助けにもならないことを知っているからです。
お金を稼ぐようになると、いろんな人が寄ってきたりするものですが、そうした声に流されることはない。
とてつもなく稼ぐ人は、どんなに自分が成功していても、変化しないというリスクを理解し、常に危機感を持って現状を変化させ続けています。