先行きの見えにくいVUCAの時代。改めて知っておきたいのが、物事の原理原則や普遍的な真理です。過去の偉人たちや数々の事業・会社を立ち上げ、成功させてきた創業経営者たちの言葉には、そんな原理原則と真理がたくさん含まれています。ベストセラー作家としての顔も持つ江上治の数々の著書のなかから、「江上治が改めて伝えたいメッセージ」として抜粋してお伝えします。
勝ちパターンと負けパターンを記録する
長年仕事をしていれば、「こういう状況だと自分は失敗する」という自分のパターンを把握している人は多いのではないでしょうか?
例えば、焦ると仕事のミスが増える人は結構多いでしょう。このことから自分が「焦っている」と感じるときは、その感情を静めたり、作業から距離を置くなど、対処法を考えている人も多いと思います。
しかし私なら、さらに詳細な分析をそこに追加します。
手帳に過去の勝ちパターン、負けパターンを詳細に記録して「こうして自分は勝ってきた」というパターンを導き出しているのです。
さらに、負けパターンの分析はBプランを考えること、また原因の仮説を考え、他の方法も次回試してみるようにします。
このPDCAをいかに何度も繰り返せるかで、負けパターンを勝ちパターンに生まれ変わらせることができるわけです。
そして私の知る限り、これをしっかり実行している人は少ない。
ただ過ぎていった過去に成功という命を吹き込み、どう活用していくかはあなた次第です。
稼げる習慣を持ち勝機に備える
「人間は習慣の動物である」
これは、ウォーレン・バフェットの名言です。
稼げる人間には稼げる習慣があり、稼げない人は稼げない習慣があるのです。
シンプルに考えれば、稼げない人は稼げない習慣を捨て、稼げる習慣を持てばいいということ。
人は何を習慣にするかで、成功もすれば失敗もします。良い習慣、稼げる習慣は、生きる上で、かけがえのない武器になりますが、問題は悪い習慣、稼げない習慣です。
物事がうまく回り順風を背中に受けて、行け行けドンドンといった感じで成長の段階をすたすたと登り、あともう少しで目標に到達するといったときに、少し気持ちのゆるみがでたりするのが人間です。それまで抑えていた悪い習慣が顔を出すのです。
そのせいで、一気にその階段から転げ落ち再起不能に陥った人を私は何人も見てきました。そんなとき「もうこんなことをしてはいけない」と再起を誓うわけですが、人間はやがてそれを忘れてしまいます。
だからこそ、そうならないために常に過去の出来事、教訓を記憶に刻み、現在の行動に生かしていかなければならない。
それに役立つのが手帳です。勝ちパターンだけでなく、負けパターンも知っておく。自分の失敗事例を認識し、負けない自分をつくりあげる戦術です。
もちろん、一敗地にまみれても心がけ次第で勝ちに転じることも不可能ではないし、そこで大きな気づきも得られるわけですが、できれば圧倒的な負け、大敗は避けた方が良いでしょう。
あらゆる知恵を駆使して決定的に負ける状態を避ける。負けない戦術を考えることは、勝者になる確実な方法でもあります。
ユニクロの柳井社長の最初の著作のタイトルは「一勝九敗」。まさに、成功するために「どう負けるか」がいかに大切かということが、この本のタイトルからもわかります。
そして最後の最後、小さいながらも勝機が見つかったとき持っているリソースをすべてつぎ込んで勝ちにつなげる。つまり、負けない戦術を考えることは勝者になる確実な方法でもあるのです。
とてつもなく稼ぐ人は、負けパターンを手帳に記録し、負けない自分を作り、勝機に一気に勝負できるように万全の準備をしているからこそ成功しています。