先行きの見えにくいVUCAの時代。改めて知っておきたいのが、物事の原理原則や普遍的な真理です。過去の偉人たちや数々の事業・会社を立ち上げ、成功させてきた創業経営者たちの言葉には、そんな原理原則と真理がたくさん含まれています。ベストセラー作家としての顔も持つ江上治の数々の著書のなかから、「江上治が改めて伝えたいメッセージ」として抜粋してお伝えします。
江上治著『一生かかっても知り得ない 年収1億円人生計画(経済界)』の内容を抜粋、一部編集しております。
「自分ブランド」を確立することが年収1億円達成の第一歩
年収2000万円を抜け出し、年収1億円を実現するための第一歩は、「自分ブランド」を確立することです。
自分ブランドを確立できるかは、独自の強み、こだわりを唯一無二のブランドにまで高められるかどうか。年収2000万円で良いのであれば、これから伸びる業種や人を見つけて、徹底的にマネることをすれば良い。つまり、積極的に奴隷になれば良いということです。
しかし「ブランド」は、決して人マネではつくれません。二流、亜流では見向きもされないのがブランドです。
そんな自分ブランドを確立するには、自分ならではの武器を分析する必要があります。子どものときから積み上げてきた自分なりの強みを確認し、さらに磨き上げること。そして、社会に出てから学んだ教訓を自分独自の「成功の方程式」まで昇華させることが不可欠です。
人から選ばれるということは、代わりがきかない存在になるということ。そうでなければ、とてつもなく稼ぐことはできないのです。学んだ既成の「型」を、今度は自分色に染めていくことが必要です。
いくら専門的な仕事をしていようが、そこそこ頭がよかろうが、世の中は広い。もっと優秀で、もっと専門知識に通じ、さらに手際よく仕事ができる人間はごまんといるのです。
ブランドとは「一貫性」のこと
年収1億円を達成するためには、「オールマイティ」を目指しても意味はありません。「これだけは負けない」という、自分ならではの軸を把握し、それをさらに強化することがより大金を儲ける秘訣です。自分の得意分野に、お金と時間を集中投資するのです。
興味深いことに、世界で名の知られる大企業も、まだ会社の規模が小さかった頃からの創業者のこだわりが、会社のブランドや経営方針になっています。
例えばアップル社は、創業者のスティーブ・ジョブズのこだわりが製品に反映されています。パナソニックのらしさである「リストラしない」という経営方針は、1929年の世界大恐慌時にも貫かれました。そんな松下幸之助の経営方針に従業員全員が感激し、猛烈にセールスに励んだといいます。トヨタの有名な「カイゼン」も創業者が提唱し、社員の大野耐一が体系化して確立したものです。
どれも創業者の思いやこだわりが軸になっています。創業者は思いが強い。エネルギー量が半端ではない。自らの思いを徹底する。それがいつしか伝統となり、経営の軸になり、その企業を愛するコアなファンが生まれ、やがて多くの消費者から「選ばれる」存在となったわけです。つまり、ブランドとは一貫性です。
グローバル時代だと騒がれると英語を勉強し始め、ドラッカーがはやっているとわかると、とたんに『マネジメント』を読む。資格が大切だといわれると、その取得に精を出す。しかし、結局、中途半端に終わってしまい、一体何をやりたかったのか、自分自身さえわからないということになってしまう。
そんなことよりも、愚直に自分の強みに専心し、自分だけの「成功の方程式」をつくりあげることのほうが賢明なのです。