先行きの見えにくいVUCAの時代。改めて知っておきたいのが、物事の原理原則や普遍的な真理です。過去の偉人たちや数々の事業・会社を立ち上げ、成功させてきた創業経営者たちの言葉には、そんな原理原則と真理がたくさん含まれています。ベストセラー作家としての顔も持つ江上治の数々の著書のなかから、「江上治が改めて伝えたいメッセージ」として抜粋してお伝えします。
江上治著『運命転換思考 一生かかっても身につけたい5つの「働き方」改革(経済界)』の内容を抜粋、一部編集しております。
目標を持つと疲弊する理由
「何のために働いているのですか? 」
「何のために毎月お金を貯めているのですか? 」
「何のために生きているのですか? 」
そう問われたら、あなたは自信を持って答えられますか。
生きる目的を考えることは、「自分の幸せは何か」を考えることでもあります。でも、生きる目的を持たずに、目標ばかりを追いかける人が、なんと多いことでしょう。
目の前の目標にひたすら向かって走る。
きれいな言葉ですが、実際の人生では、まったくの逆です。
自分を追いつめ、苦しめるだけの目標思考から、いますぐ脱皮しよう。
数字に縛られるだけの毎日は、すぐにやめるべきです。さもなくば、運命は変えられません。
目標思考ではなく「目的思考」で生きる
目標を掲げ、それを達成していくことは重要です。ただ、それだけの生活は、人を疲れさせます。際限のない、蟻地獄に足を踏み入れたと同じだからです。目標を超えたら、また次の目標が待ち構えています。
この病根を一発でえぐり出し、別の生き方を指示してくれたのが一人のメンターです。私が目標を追いかけるつらさを語ったところ、こう聞かれたのでした。
「君の会社の将来像は、どんなイメージ? どんな会社にしたいの?
君の働く目的、生きる目的は何なの? 人生の夢は? 」
私の思考は、目標思考だけであって「目的思考」がなかったわけです。
メンターからの指摘は強烈でした。私はすぐに、経営関連の本を何冊か抱いてホテルにこもり、また、自分が何のために独立して会社を興したのかを、考え続けました。
ここから生まれたのが、私の会社の「縁を絆に変えて共に成長する」という企業理念です。
日常の仕事の先に、それらを包み込む大きな企業目的があるという意識。
その目的のために毎日の仕事があるという思いは、私に想像以上の「自己肯定感」をもたらしたのです。
「目的」を忘れて、手っ取り早くノウハウ本を読んで「手段」ばかり勉強してみたところで、成果が得られるわけがないのです。
人生に変化を起こすために、目的から考えるクセをつけてください。「何のために」と、つねに自分に問うことです。
そして、目先の手段を捨て、大きな目的を持ちましょう。「どんな運命にしたいのか」と思考することで、運命は逆転するのです。