経営

経営者を幸福にする事業投資はM&Aなのか ・齋藤由紀夫(前編)

投資家目線を忘れない事業投資・M&Aアドバイザーの齋藤由紀夫氏

新規事業の立ち上げや海外進出、起業などの事業投資。国内や海外の不動産投資。株や投資信託、FX、暗号資産などの金融商品投資…投資の選択肢は数多ありますが、どんな投資が経営者・投資家を幸福にするのでしょうか。今回は、事業投資のなかでもM&Aについて焦点を当て、長年にわたり事業投資やM&A、資金調達の支援と実践を行ってきた株式会社つながりバンク・代表取締役 齋藤由紀夫氏の資料を引用しながらご紹介します。

※資料は2021年7月に齋藤氏にご登壇いただいた『1億円倶楽部』での配布資料から一部を抜粋したものです
経営者を幸福にする事業投資はM&Aなのか (後編)はこちら

投資家目線を忘れない事業投資・
M&Aアドバイザーの齋藤由紀夫氏

江上治が主催する『1億円倶楽部』では、毎月ゲスト講師をお招きして各分野の専門家・スペシャリストにご講演いただいています。

2021年7月には、「スモールM&A最新動向」~コロナを変化のチャンスへ~をテーマに、株式会社つながりバンク 代表取締役の齋藤由紀夫氏に登壇していただきました。齋藤氏のプロフィールは、以下のとおりです。

株式会社つながりバンク 代表取締役 齋藤由紀夫
金融会社でサラリーマン生活を送った後、2012年に㈱つながりバンクを設立。
М&Aアドバイザー事業の傍ら、自ら小規模の事業投資・M&Aを実践。
損切り含めM&Aの投資とエグジットを経験。
現在は、ITベンチャー企業・複数のM&A会社の株主兼役員として経営参画中。
事業投資オンラインメディア「Z-EN」運営。
著書「スモールM&Aのビジネスデューデリジェンス実務入門」(中央経済社)
趣味は、企業価値評価、トレイルランニング、ゴルフ、盆栽

当日は、以下のアジェンダでご講演いただきました。

・M&A(外部承継)の基礎知識
・M&Aアドバイザリーの実態
・withコロナ時代のM&A
・M&Aに関連する国の支援策
(事業再構築補助金/事業承継・引継ぎ補助金/経営資源集約化税制)
・再生型M&A案件
・投資ポジショニング
・売り案件の見つけ方(ソーシング)
・企業価値評価方法、企業資産の見える化
・事例から学ぶ、成功したM&A、失敗したM&A
・運が良い社長・ビジネスマンの特徴
・スモールM&Aアドバイザー成功の特徴

齋藤氏は、投資家目線を忘れない事業投資・M&Aアドバイザーの一人です。事業としてアドバイザー業や仲介業に取り組んでいると、自分の利益になりやすいように情報を編集・翻訳してしまいがちですが、齋藤氏の場合、ご自身でも事業投資等の経験が豊富なため投資家目線でアドバイスをしてくださいます。投資家・経営者にとって、これほど頼れる存在はないでしょう。

スモールM&Aが注目される理由

講演では、スモールM&Aの基礎知識から事例等、幅広い知識・情報・ノウハウをお話していただきました。

そもそもM&Aとは、「Mergers(合併)」と「Acquisitions(買収)」の略で、企業・事業の合併や買収の総称です。大きい案件からスモールM&Aに転身して、齋藤氏は違和感を覚えたと言います。それは、

① 中小企業のM&Aにおいて、実行時に「合併」の事例を知らない
② 「買収」という言葉を現場で使ったことがほとんどない
③ M&A専門書、金融・ファイナンス、デューデリジェンスの常識が役に立たない…

などの点。スモールM&Aは、予期せぬことの連続です。最終契約の当日に、

「気が変わったから白紙に戻す」
「妻に反対されたので辞める」
「先祖から会社を続けるように言われた」

など、予想だにしない連絡をもらうこともあります。売り手企業(譲渡企業)にとっては、それだけ心境の振れ幅の広いことですので、仲介・アドバイザーは伴走する姿勢も重要でしょう。

会社経営を死ぬ当日まで続けることはできませんし、経営者の急逝は周囲を不幸にしかねません。しっかりと出口戦略を考えておくことが必要です。社長の出口として、以下の5つの選択肢があります。

事業承継 社長の出口 5つの選択肢
親族内承継(子息・親族)
従業員承継(MBO・EBO)
IPO・上場(東京プロマーケット等)
外部承継(第三者・M&A)
廃業・清算(法的処理含む)

当日の資料によると、会社・事業売却の理由・実態は以下のとおりと言います。

■外部要因

・法改正
・競争の激化
・株主からの要請
・市場の成長鈍化
・第三者からの訴訟
・人材確保の困難
・コロナショック

■内部要因

・後継者不在
・他事業への投資
・経営不振/資金繰り
・体調不良
・ノンコア事業の分離
・大手傘下での経営
・資金調達の限界

■その他の要因

・飽きちゃった
・経営意欲がなくなった
・他の事がやりたくなった
・社長業が向いてなかった
・海外でのんびりしたい
・人生観が変わった
・IPOが面倒になった
・一旦、リセットしたい
・家族(女性)優先したい

「飽きちゃった」という売却理由は、実際のところかなり多いと感じます。熱意を持って始めた事業であっても、いつしか飽きが来るのが人間です。ですから、会社や事業の売却とM&Aによる会社や事業の買収をくり返す連続起業家(投資家)として生きることも、長い人生では良い選択肢になるのかもしれません。

スモールM&Aが注目されるようになった背景には、経営者の高齢化によって事業承継時期を迎える中小企業が増えてきたことや、ベンチャー・スタートアップ事業の出口戦略としてM&Aが検討されることが増えてきたこともありますが、「飽きちゃった」などの本音を言える環境になってきたことも影響しているのでしょう。

また、中小企業の維持存続は、国が本腰を入れる重要施策でもあります。

M&A仲介のルールづくりなど、国としても力を入れている領域ですから、今後もスモールM&Aのマッチングは増加するでしょう。連続起業家という選択肢も、一考の価値ありだと感じます。

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中島 宏明

中島 宏明

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経営者のゴーストライター

2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。

暗号通貨草創期からの投資家仲間を通じて、草創期からの投資家しか知りえない暗号通貨に関する情報を取得している。

現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島でアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースで、投資や新時代の働き方をテーマに連載中。

連載一覧 https://news.mynavi.jp/author/12228/

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