経営

優秀な人材に「選ばれる会社」になるためにできること

「1人あたりの採用コストが上がっている」「採用しても辞めてしまい、人材が定着しない」「育った頃に辞められてしまう」「そもそも求人を出しても応募がない」など、採用に関して課題を抱えている経営者の方も多いのではないでしょうか。優秀な人材を採用するためには、これまでと同じ採用方法を続けていても難しいでしょう。そこで、少しだけ新しいことを取り入れてみてはいかがでしょうか。

採用ターゲットを定義する

お客様を獲得するためのマーケティングにターゲット設定が欠かせないように、「どんな人材を採用したいのか」という人材要件定義をすることはとても重要です。求人広告でも一般的な広告でも同じことですが、ターゲットを明確にして絞り込まないと広告から良い反響は取れません。

「最近の若者は、保守的でつまらない」
「野心がない。熱意もない」
「コスパ(コストパフォーマンス)重視で、サービス精神に欠ける」

と感じる経営者の方も少なくないでしょう。しかし、30代である筆者の周りにはこういった人は全然いません。ひと口に「若者」といっても、世代では括れないくらい志向は多様です。

例えば、

・20代から30代の男性
・熱意を持って仕事に取り組める人

とターゲットを設定しても、採用したい人物像がまったく明確になっていません。これでは、「ちょっと面接だけでも受けてみようかな」という人が薄っすらと反応するだけです。

なるべくなら、採用したい人物像が使う言葉を使って求人広告も作り込みたいところです。

例えば、

・将来の幹部候補

と書くとブラック企業っぽく見えます。

・スターティングメンバ―
・スタートアップ企業で働きたい人
・IPOを目指している会社でともに成長を体験したい人

と書くと、反応する層に変化があるかもしれません。

「社会貢献」という言葉は使い古された感がありますが、故郷に貢献したいとUターンする若者は案外多くいます。また、Iターンなど地方に移住して暮らしたい層もいます。

「若者を採用したい」としても、ターゲットの志向によって言葉を変えていく必要があります。

オープンな対話をして、会社と個人のビジョンが重なる部分を探す

運良く「採用したい人材」と出会うことができたなら、とことん自分のファンにすること採用につながるかもしれません。そのためには、まずは心を開くことです。

上から目線のアドバイスや価値観の押し付けでは、相手が引いてしまいます。相手が心を開いてくれるまで、あの手この手で対話をしましょう。対話の中で、共通のビジョンや夢、共通のキーワードが見つかるはずです。

会社や経営者自身のビジョンと、相手のビジョン。それらの中に共通する何かが見つけられれば、きっと採用に近づくでしょう。

「この会社が自分の居場所だ」と感じてもらえれば、それはとても嬉しいことですよね。

多様な人事制度を用意しておく

しかし優秀な人ほど、すぐに育ってすぐに会社から巣立ってしまいます。少しでも長く一緒に働けるように、社内起業制度や社内転職制度、出戻り歓迎制度などを整備してみても良いでしょう。

社内起業制度とは、新規事業の立ち上げを託すことです。事業責任者、あるいは雇われ社長として事業計画を作り、会社から資金調達をして事業を推し進めます。一定期間で進捗を確認し、ダメならダメで元の部署に戻ることができる制度です。

社内転職制度とは、部署間の異動ができる制度です。営業職で芽が出なかったとしても、案外新人教育や人事、商品開発で才能が開花するかもしれません。一つの成果だけで人を評価してしまうのは早計です。

出戻り歓迎制度は、退職・転職しても、「戻ってきても良いんだよ」という制度です。隣の芝は青く見えるのか、一度退職してみると「案外恵まれた環境だったんだな」と後悔する人も少なくありません。出戻り歓迎制度があるのとないとでは、「やっぱりまた働きたい」という一言を引き出せるかどうかに影響します。

このように、整備できる制度を用意し、人材の定着率を上げていく工夫をするのも良いでしょう。

 

中島 宏明

中島 宏明

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経営者のゴーストライター

2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。

暗号通貨草創期からの投資家仲間を通じて、草創期からの投資家しか知りえない暗号通貨に関する情報を取得している。

現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島でアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースで、投資や新時代の働き方をテーマに連載中。

連載一覧 https://news.mynavi.jp/author/12228/

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