経営

サステナビリティ経営でVUCA時代を生き抜く

未来予測が困難なVUCA時代に入り、「SDGs」「サステナビリティ経営」「SX」などの新しい言葉がメディアで取り上げられるようになりました「VUCA」「SDGs」「サステナビリティ経営」「SX」とは、一体何なのでしょうか。どんな時代も、常に激動で予測困難。経営者・起業家として、どんな姿勢を持ち、社会課題や経営課題に対峙するか。本稿がそのヒントになれば、嬉しい限りです。

SDGsとサステナビリティ経営、世界のSX

SDGsとはSustainable Development Goalsの略で、日本語にすると「持続可能な開発目標」という意味です。

これは、国連で採択された「2030年までに国際的に実現していきましょう」という目標で、世界中の政府や企業、団体が取り組んでいる活動です。SDGsでは、以下の17つのグローバル目標が掲げられています。

・貧困をなくそう  No poverty
・飢餓をゼロに  Zero hunger
・すべての人に健康と福祉を   Good health and well-being
・質の高い教育をみんなに  Quality education
・ジェンダー平等を実現しよう  Gender equality
・安全な水とトイレを世界中に  Clean water and sanitation
・エネルギーをみんなに そしてクリーンに  Affordable and clean energy
・働きがいも経済成長も  Decent work and economic growth
・産業と技術革新の基盤をつくろう  Industry, innovation, infrastructure
・人や国の不平等をなくそう  Reduced inequalities
・住み続けられるまちづくりを  Sustainable cities and communities
・つくる責任 つかう責任  Responsible consumption, production
・気候変動に具体的な対策を  Climate action
・海の豊かさを守ろう  Life below water
・陸の豊かさも守ろう  Life on land
・平和と公正をすべての人に  Peace, justice and strong institutions
・パートナーシップで目標を達成しよう  Partnerships for the goals

これらのSDGsで設定されているゴールとともに知っておきたいのが、「サステナビリティ経営」や「SX」という言葉です。SDGsもサステナビリティ経営もSXも、今は自分事になりにくいかもしれませんが、数年のうちに無視できないものになるでしょう。各国の政府や企業、団体はSDGsへの取り組みを実行しないと、自分たちのファイナンスにも影響を及ぼすからです。

「持続可能性への取り組みを行っている企業は価値が高い」
「取り組んでいない企業は価値が下がってしまう」
「取り組んでいない企業とは、取引の優先順位を下げる」
「取り組んでいない企業には融資しない」

…そんな評価基準の浸透が、世界では起こり始めています。

新型コロナウイルスの感染拡大以降、DX(デジタルトランスフォーメーション)が各企業で進められていますが、DXの次は「GX(グリーントランスフォーメーション)」、「SX(サスティナビリティトランスフォーメーション)」が当たり前になっていくとされています。つまり、SDGsの時代がすでに始まっているということです。顧客はもちろん、株主や社員などのあらゆるステークホルダーにとって魅力的で頼れる企業になることが求められています。

VUCA時代とサステナビリティ経営

VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った造語で、先行きが不透明で未来予測が困難な状態を意味します。

VUCAは元々アメリカで使われていた軍事用語で、1990年代にアメリカとロシアが対戦していた冷戦が終結し、“兵器ありきだった戦略”が不透明な戦略へと変わったことを表している言葉でした。その後、変化の激しい世界情勢や経済環境を表す言葉としてビジネスシーンでも利用されるようになりました。

VUCA時代には、SDGsへの具体的な取り組みやサステナビリティ経営の戦略・戦術、SXへの対応が欠かせなくなるでしょう。サステナビリティ経営やSXについて、ぜひ参考にしていただきたいのが『SXの時代 ~究極の生き残り戦略としてのサステナビリティ経営 坂野俊哉、磯貝友紀著(日経BP)』という書籍です。

サステナビリティ経営とは何か。一言でいえば、「長期で利益を出し続けるために、リソース配分を行うこと」だ。では、長期で利益を出し続けるために必要なことは何か。まずは、その企業が長期にわたって市場から求められ続けること、第二に供給(原材料、知財、人材など)を長期的に維持すること、第三に社会からも信頼され続けることだ。長期的な市場の行方を適切に見定めることは当然重要だが、市場があっても、供給体制が維持できなければ、その要求に応えることはできない。また、社会から信頼されず、ブランド価値が殿損してしまうようなことがあれば、長期的な事業継続は不可能になる。

(中略)

変化のスピードが速い世界では、計画など無意味という見方があるかもしれない。アジャイル経営はこうした考え方の一つだ。時間をかけて「計画」を立てるよりも、「変化に柔軟に対応すること」で目標を達成することを目指す。現代のような変化が激しい時代に合ったアプローチだ。しかし、アジャイル経営によって、変化に柔軟かつ素早く対応するのは、あくまで先に目標があってそれを達成するためであり、経営環境が激変する今のような時代こそ、道に迷わないために、進みたい方向を指し示してくれる目標を明確にしておくことが必要不可欠だ。

 

引用元:SXの時代 ~究極の生き残り戦略としてのサステナビリティ経営 坂野俊哉、磯貝友紀著(日経BP)

未来予測が困難な時代だからこそ、筋の通った哲学や一貫性が必要です。「ビジネスになりそうだから」「なんか儲かりそうだから」という動機だけでは、哲学がありません。仕事や事業を通じて、自分たちはどんな社会課題と向き合い、解決・解消のために取り組んでいくのか。そんな原点をときどき見つめ直すことも大切でしょう。

中島 宏明

中島 宏明

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経営者のゴーストライター

2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。

暗号通貨草創期からの投資家仲間を通じて、草創期からの投資家しか知りえない暗号通貨に関する情報を取得している。

現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島でアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースで、投資や新時代の働き方をテーマに連載中。

連載一覧 https://news.mynavi.jp/author/12228/

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