先行きの見えにくいVUCAの時代。改めて知っておきたいのが、物事の原理原則や普遍的な真理です。過去の偉人たちや数々の事業・会社を立ち上げ、成功させてきた創業経営者たちの言葉には、そんな原理原則と真理がたくさん含まれています。ベストセラー作家としての顔も持つ江上治の数々の著書のなかから、「江上治が改めて伝えたいメッセージ」として抜粋してお伝えします。
江上治著『一生かかっても知り得ない 年収1億円人生計画(経済界)』の内容を抜粋、一部編集しております。
武器を見つけるシンプルな方法
私が損保会社で営業の仕事をしていたとき、懇意にしていただいた銀行の副頭取に「お前が生きる武器は営業だ。人とつながる力だ」と教えてもらったことがあります。そして、営業で大事なのは、情報を提供することと、相手の弱みを探すこととも教わりました。シンプルなようで奥が深い教えです。
相手の弱点を探し出して、それを穴埋めしてあげる情報提供をすること。弱みと補完は、人間社会を好循環させる真理です。
「あなたの武器はなに?」と聞かれて、即答できる人は少ないでしょう。そんな人は、過去の振り返りと棚卸しをしてみると良いでしょう。しかし人間という生き物は、過去の失敗ほどよく覚えているものです。そのため、過去を振り返るのが怖いのです。
ですが、どんな人も失敗だけの人生ということはないのではないでしょうか。1つか2つは、大なり小なり成功体験があるはずです。そこに武器は隠れています。もしくは、失敗のなかに隠れていることもあります。いずれにしても、過去の振り返りは欠かせません。
メンター選びは「だれを育てたか」
自分の武器を知る方法として、振り返り以外に「人に教えてもらう」というのも有効です。的確に武器、強みを教えてくれる人は、メンターともいえるでしょう。優れたメンターに出会えるかどうかは、人生を大きく左右します。
私はメンターを、「自分を突き動かしてくれる人」「心のスイッチを入れてくれる人」と解釈しています。そして、いつでもメンターから直接教えてもらうわけにもいきませんから、メンターの考えや行動の基準を深く知るようにしています。
「あの人なら、こういうときどう考えるだろう、行動するだろう」と考えることができるようになるからです。メンターの視点で事態を観察する、分析することができるようになります。
またメンターは、必ずしも人であるとは限りません。本や映画、音楽、芸術作品かもしれませんし、作家や哲学者、歴史上の人物かもしれません。自分を突き動かし、心のスイッチを入れてくれれば、人でなくても良いのです。
経営者の方であれば、創業経営者をメンターに持つと良いでしょう。そんなとき気をつけたいのは、メンターの選び方です。身近な人の価値を上げられる人をメンターにすると良いのではないでしょうか。つまり「だれを育てたか」です。例えば、健康飲料の会社を経営するK社長は、輸送関係のトラック運転手をしていた人を育て、年収4000万円の輸送会社社長にしました。そんな風に、だれかを育て、価値を上げた人をメンターにすれば、あなたの成長速度も速まり、価値も上がるでしょう。