先行きの見えにくいVUCAの時代。改めて知っておきたいのが、物事の原理原則や普遍的な真理です。過去の偉人たちや数々の事業・会社を立ち上げ、成功させてきた創業経営者たちの言葉には、そんな原理原則と真理がたくさん含まれています。ベストセラー作家としての顔も持つ江上治の数々の著書のなかから、「江上治が改めて伝えたいメッセージ」として抜粋してお伝えします。
江上治著『一生かかっても知り得ない 年収1億円人生計画(経済界)』の内容を抜粋、一部編集しております。
「人生計画」が人生の転轍機
江上治は、FPとして個人年収1億円を超える方々、プロアスリートから企業経営者までを顧客層としています。
顧客になっていただく際、徹底的なヒアリングを行い、その人生計画をうかがうのが常です。年収1億円を稼ぐ人たちは、例外なく人生対処が明快であることに気づきます。
「このようにして生きてきた」
「今後はこのようにして生きていく」
という方針や戦略で、人生の軸が明確なのです。
ぼんやりしたものはありません。漠然とした生き方をしている人は皆無です。
しかし、顧客のだれもが、一足飛びに現在の地位や富を手に入れたわけではありません。幼いときもあり、学生時代や会社員時代もあります。そして、苦境・奮闘の時代もあったのです。そのような時代を乗り越えて、今があります。
では、どこかで差ができ、差が広がっていくのでしょうか。
なぜ、稼げる人と稼げない人が生まれるのでしょうか。
人生の線路の進む路を分かれさせる「転轍機」があるのではないかと思います。そして、「人生計画」が転轍機です。
一方の人は、自分の人生計画を持ち、生きる上の戦略、哲学、方針を胸に抱き、一歩ごとに確実に階梯を昇る情念を秘めています。
しかしまた一方の人は、まったくそれを持たず、行き当たりばったりに生きています。人生の明暗は、案外早い時期についていたのかもしれません。
計画なくして自由なし
東京帝国大学教授(林学)という学者でありながら、財産づくりにも大成功した本多静六という博士がいます。25歳のときには年収240万円ほどだったそうですが、60歳で100億円超の資産を築いた人物です。
『人生計画の立て方』(実業之日本社)という名著がありますので、ぜひ読んでみてください。そこで博士は、「人生に計画が必須のものである」と断言しています。計画を立てることの目的は、自由になるためであると指摘し、「計画なくして自由なし」とさえ言っているのです。
「自由」か「奴隷」か
「自由」が良いか、それとも「奴隷」が良いかと問われれば、ほとんどの人は「自由」を選ぶでしょう。
しかし自由には、決定的に難しいことがひとつあります。それは、選択を任されるということです。なにかを決めなくてはいけないとき、だれかの指示を待ってはいられません。なにもかも自分の判断に任されることになります。これは想像する以上の苦役です。
そして経営者は、毎日がこの判断の連続です。ときには圧しつぶされそうになることもあるでしょう。それでも耐え忍び、耐え抜き、日々を生き抜いていかなければならないのです。
起業の際、経営計画や事業計画をつくる人は多いでしょう。しかし、自分の人生計画はつくったでしょうか。ぜひ人生計画をつくり、生きる上の戦略、哲学、方針を言葉に表しておいてください。それがあなたの転轍機になるはずです。