先行きの見えにくいVUCAの時代。改めて知っておきたいのが、物事の原理原則や普遍的な真理です。過去の偉人たちや数々の事業・会社を立ち上げ、成功させてきた創業経営者たちの言葉には、そんな原理原則と真理がたくさん含まれています。ベストセラー作家としての顔も持つ江上治の数々の著書のなかから、「江上治が改めて伝えたいメッセージ」として抜粋してお伝えします。
目次
一歩目のアプローチで、勝負の9割は決まる
私は有名スポーツ選手から経営者まで、年収1億円超のクライアントを50人以上抱えていますが、彼らは皆ワガママ。同じコーヒーでも、200円のスタバではなくリッツ・カールトンの2000円。この差額は、心地よい空間を提供するサービス料です。
そんな環境に慣れている彼らは、「ここまで尽くしてくれるか!」という感動がなければ心を開きません。普段からいろんな人が近寄ってきますから、非常に用心深く、何かを売りつけられるのを強く警戒します。目に見えない金融商品ならなおさら。「こいつに預けて大丈夫か?」という疑いの目で見ます。
まず、彼らの心を開かなければなりません。ですから、私は商品の話は一切しません。相手が私にどんなことを期待しているか、何を欲しているかのリサーチとヒアリングを、事前に時間をかけて徹底して行います。秘書や受付、会社のナンバー2らにその人の性格や欲していることを聞き込み、本を出していればそれを読んでおく。こうした一歩目のアプローチで、勝負の9割は決まります。
富裕層がやっていることを自分で経験するといい
「富裕層に営業しろ」と簡単に言いますが、では富裕層のことを知っているのかと言いたい。年収400万円の相手と、年収4億円の相手とではアプローチの仕方がまったく違う。会食もミシュランの三ツ星、土産物も2万~3万円の一流品。まず相手を知ることです。それには富裕層がやっていることを自分で経験するといい。リッツ・カールトンでコーヒーを飲む、新幹線はグリーン車にする、1泊10万円の部屋に宿泊する、などなど。要はそういう投資ができるか否かです。
自分の心を捨てて、相手の心にベクトルを100%向けなければいけない
営業の基本は共感力。相手の立場に立つことです。そのためには、自分の心を捨てて、相手の心にベクトルを100%向けなければいけない。恋愛と同じですよ。自分の希望ばかり主張していては終わりです。
自分を捨て切れていない
売れない営業マンほど、「いい商品だから買ってください」という商品説明ばかり。いい商品かどうかは営業マンではなく客が決めるもの。なのに、売れないトラウマがあるせいか、その日のうちに売ろう、売ろうとする。ベクトルが自分のほうばかり向いていて、自分を捨て切れていない。これでは共感は生まれません。
緊張が解けたときに背中に出る本性
松下幸之助さんは、面談相手の帰り際の後ろ姿を見たそうです。話しているときは立派でも、緊張が解けたときに背中に出る本性を見て信頼できるか否かを判断していたのでしょう。
富裕層は曖昧な答えを嫌います
富裕層は事実と正確なデータを欲しがり、曖昧な答えを嫌います。「だいたい□□」「たぶん○○」といった言葉は聞き逃しません。「それはどこで調べたのか」と容赦なく突っ込んでくる。著名人とのツーショット写真を見せたら、「じゃ、おまえ電話してみろ」と言われます。成功者は自分にも他人にも厳しい。お金は命。100円といえども粗末に扱われたくないんです。自分が信頼に足る人間かをきちっと相手に伝えられなければいけません。
信頼は潔さの表れ
失敗したときが非常に大事です。潔く謝れる、土下座できる人は信頼される。信頼は潔さの表れです。責任を取れる奴はちゃんと謝るし、謝り方にも心がこもっています。逆に、ミスしたときに逃げる奴は怖いし、物事を任せられない。「○○が言ったので」のような口癖を、成功者は聞き逃しません。他人のせいにする人は、逃げ癖がついているから成長がない。成功者が一番嫌う人です。
「この人に力を貸そう」と思ってもらわなければならない
稼ぐ人が相手視点を尊重するのは、自分の評価は自分でするものではなく、相手がするものだと理解しているからです。実際に年収1億円以上を稼ごうと思えば、周りの実力者や一流の人たちの協力や支援が不可欠です。そのためには、彼らの価値基準や評価軸を知り、それらを満たすことで、「この人に力を貸そう」と思ってもらわなければならないのです。
心に余裕を持つには、失敗も含めて場数を踏むしかありません
心に余裕を持つには、失敗も含めて場数を踏むしかありません。いま成功している人たちも、最初から自信に満ち溢れていたわけではありません。成功している人ほど失敗も多いものです。失敗から得た教訓を次の機会に生かし、少しずつ成功体験を増やしていく中で、心に余裕が生まれてきます。