持たない経営で身軽に生きよう(前編)/持たない経営で身軽に生きよう(後編)
前編では、ティール組織やブロックチェーン組織、分散型金融(DeFi)、自律分散型組織(DAO)についてご紹介しました。続く後編では、分散型の概念が浸透し、自律分散型社会になったときに求められる人材やスキルについて解説します。「会社」という組織の存在が過去のものになるときに備え、ミニマムな持たない経営を体現しておきましょう。
自律分散型社会で価値ある人材になるには
投資の神様とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、自己投資に関してこんなことを言っています。
「最終的にその他のどのような投資にも勝る投資は、自分自身への投資だ。あなたが自分自身の中に持っているものを、誰も奪い取ることはできない。そして誰にでも、まだ使うことができていない潜在力がある。能力をつけることによってあなたが10%、20%、あるいは30%高めた潜在力は、課税されてなくなることも、インフレによって失われることもない。生きている限り、持ち続けることができる」
投資・資産運用と言っても、その選択肢は無限に近いくらい存在するわけですが「自己投資」によって得られる資産は、誰にも奪うことのできない究極の資産です。
自己投資できる人は、経験やノウハウ、スキル、アイデア、人間関係などの無形資産を築き、成長し続けることができるでしょう。そんな人であれば、自律分散型社会になっても、さらに社会が変化しても適応し、必要とされるはずです。
組織を越え、国を越えて貢献していく
オンラインで世界中の人とつながることのできる現代では、もう国境はほとんどありません。メタバースのような仮想空間の活用が広まれば、より世界はフラット化していくでしょう。ビットコインのような分散型通貨、分散型金融(DeFi)、自律分散型組織(DAO)、自律分散型社会…と、分散型の概念は徐々に広がりを見せてきました。その先には、分散型国家もあり得るのかもしれません。フラット化する世界では、国という概念自体が過去のものになる可能性もあります。
大小のコミュニティーが国境なく、仮想空間や現実空間に分散して存在するなかで、複数のコミュニティーに属し、コミュニティーを越境して自分の価値を創っていく。ときには、コミュニティーと別のコミュニティーをつなぎ、それぞれの価値を高めていく。
そんな人材が、今後は価値を持つでしょう。ノウハウやアイデア、スキル、知識、人間関係などの無形資産が、ますます価値を持つ時代になっていきます。
問いを投げかけたら策が返ってくる自律分散型組織
ビットコインのシステムは、世界中のエンジニアによって改良が加えられてきました。システム改良の議論は、基本的にはオンライン上で行われています。議長がいるわけでもありませんから、発言は自由です。
SNSのグループなどでも、なにか問いや悩み事を投げかけたら世界中からさまざまな人が意見やアイデアを出してくれて、あっという間に解決してしまった、ということも現実に起こっています。
最初の問いという一滴を落とすのが誰かもわかりませんし、解決に導いてくれるのが誰かもわかりません。しかし、発せられた途端になにかが起こり始めます。
これまでの会社という組織の在り方であれば、ディスカッションは主に社内で行われていたわけですが、今はオンラインでもリアルでも、社内外の人が自由闊達な議論をできるようになってきました。
分散型の概念が浸透した頃には、日本のフリーランサー率も上がっているかもしれません。副業や複業で、並行して別の仕事(プロジェクト)を始めても良いわけですから、身軽に軽やかに生きることのできる人は今後ますます増えていきそうです。