先行きの見えにくいVUCAの時代。改めて知っておきたいのが、物事の原理原則や普遍的な真理です。過去の偉人たちや数々の事業・会社を立ち上げ、成功させてきた創業経営者たちの言葉には、そんな原理原則と真理がたくさん含まれています。ベストセラー作家としての顔も持つ江上治の数々の著書のなかから、「江上治が改めて伝えたいメッセージ」として抜粋してお伝えします。
江上治著『運命転換思考 一生かかっても身につけたい5つの「働き方」改革(経済界)』の内容を抜粋、一部編集しております。
自分の視点を持つことで欲をコントロールする
「欲のコントロール」とは、無数の常識や固定観念、先入観に流されないことをいいます。
まわりの判断に惑わされるのではなく、自分なりの視点をしっかりと持って判断すること。そうでないと、欲望をコントロールすることはできません。
世界的な投資家として知られるウォーレン・バフェット氏は、若い頃に信頼している人が買った株を買おうとして、
「自分で調べて、買いなさい」
と、注意されたことがあるといいます。それ以降、市場動向や他人の意見につられて株の売買はしないことを信条とすることで、大きな成功を継続的におさめているのです。完全に自分の主体性にすべての判断をゆだねている、ということです。
また、バフェット氏は「リスクとは、自分がなにをやっているかよくわからないときに起こるものだ」ともいっています。人を介しての情報の伝播は、どこかで必ずゆがむもの。主体的に、自分の視点で、いまなにが起こっているのかを見て、判断してゆくしかありません。
例えば、「家を買う/買わない」「投資をする/しない」という判断は、いま得か損かではなく、自分のライフプランから、自分がどんな生き方をしたいか、どんな生活スタイルをしたいかから判断するべきことです。
自分の資源を活かして収入を上げ、倹約をし、残ったお金で投資をしていくのが王道です。この王道から外れ、株やFX、暗号資産の短期トレードにハマるのは、お金が目的になって、目先の欲に動かされている姿そのもの。目的と手段を混同してはいけません。
「信じるな、疑うな、確認せよ」を徹底する
三光ソフランホールディングスの高橋誠一会長から、
「信じるな、疑うな、確認せよ」
という金言をいただいたことがあります。私が、いまでも忘れずに胸に刻んでいる言葉です。
「信じるな」とは、世の中やマスコミの情報を、そのままうのみにするなということ。自分なりの視点で判断することの重要性は、これまでお伝えしてきたとおりです。
「疑うな」は、先の言葉と矛盾しているように思うかもしれませんが、情報をすべてシャットアウトするのではなく、一度はいろいろな人の話に耳を傾けることの重要性を説いています。すべてをシャットアウトしてしまえば、必要な情報され入ってこなくなるからです。
「確認せよ」は、入ってきた情報を、最低でも3人のプロに確認しなさいということです。3人の専門家に確認すれば、共通項も見えてきます。しかし、最終的には自分なりの視点で判断しなくてはなりません。
失敗体験を「強み」に変える
「強み」と聞くと、成功体験ばかりを考えがちですが、実は失敗体験こそが強みになります。
強みとは、他人との差別化のこと。人生のプラスもマイナスも、自分の物語にしていくのです。
順風満帆な人生などありません。そんなものは実につまらない。人生は、山あり谷あり。それが魅力に変わっていくのです。
失敗も、苦労も、挫折も乗り越えた人。
そんな人の話は、だれかを魅了し、だれかをファンにするものです。そして、あなたの顧客になってくれる人も現れるでしょう。
自分の成功体験と失敗体験を、まずは書き出してみてください。それでも自分の強みがわからなければ、メンターに聞いてみると良いでしょう。