先行きの見えにくいVUCAの時代。改めて知っておきたいのが、物事の原理原則や普遍的な真理です。過去の偉人たちや数々の事業・会社を立ち上げ、成功させてきた創業経営者たちの言葉には、そんな原理原則と真理がたくさん含まれています。ベストセラー作家としての顔も持つ江上治の数々の著書のなかから、「江上治が改めて伝えたいメッセージ」として抜粋してお伝えします。
江上治著『運命転換思考 一生かかっても身につけたい5つの「働き方」改革(経済界)』の内容を抜粋、一部編集しております。
「お金、スキル、人脈、時間」の4つの資源で相手の課題を解決する
自分がまずお金を稼ぐというよりも、「人に与えなさい、稼がせなさい」と考える方が正解です。
しかし、「私には、人に与える情報も、お金も、何もない」という人も多くいます。
「あなたの持っている資源」をもう一度考えてください。
私は、お金、スキル、人脈、時間の4つを重要な資源と考えています。お金やスキルといったものがなくとも、自分なりの人脈を使って、他人の悩みや問題の解決のために、だれかにつないであげることも、大きな価値を相手に与えることになります。
相手のことを考え、その悩み、課題をどうしたら解決できるかを考えていく。こうした姿勢は、一方でその人を大きく成長させていくことに違いありません。
そして、いちばん大事なことは、あなたが誰かの役に立つことをして、その対価としてお金を差し出されたら「受け取る」ことです。ありがとうございます、といっていただかなくてはなりません。
そうしなければ、あなたは単なる「いい人」で終わってしまい、お金は貯まらないばかりか、ほかのお金も入ってこなくなります。
欲をコントロールする力
この世でいちばん難しいのは、欲のコントロールでしょう。
ビジネスをしていると、うまくいくときもあれば、うまくいかないときもある。あたりまえのことです。
ずっと勝ち続ける人などいない。いまの状態がずっと続くことなどあるわけがないのです。必ず「流れ」が変わるときがやってきます。
長い目で俯瞰するような思考で、ものごとを見ることが重要です。目先の欲に振りまわされるから運を落とすのです。欲に支配されてしまったら、確実に破滅を招きます。
私のまわりで成功している人は、欲のコントロールが巧みです。欲に流されないためのハンドルさばきがうまいのです。
美容室「EARTH(アース)」を全国展開する、アースホールディングスの國分利治社長の「決断」で、おもしろいなと思ったのが欲のコントロールでした。
本部に納めていた加盟料を、あるときに半分近くにまで引き下げたのです。「こんなに儲けすぎてはいけない」と、すっぱりと値下げしました。
國分社長はほかにも、のれん分けするとき、業界の常識では赤字店を譲ることが多いのに対して、創業以来一貫して黒字の店を持たせます。
また、アパマン創業者の三光ソフランホールディングスの高橋誠一会長は、建売の販売で順調に会社を大きくしました。
不動産業界への進出から6年後、社員5人で40戸の建売を売ったとき「待てよ」と考えたそうです。「なぜ、不動産業を始めたばかりなのに、こんなに儲かるんだ?」。まわりを見ると、中規模から小さな建売業者、みんなが儲かっています。
「こんなこと、どう考えてもおかしい」と考え、ためらわず、一瞬の判断で建売業をやめ、注文住宅に切り替えました。社員はずいぶんと戸惑ったようですが、この半年後、第二次石油ショックがやってきて、建売住宅がぴたりと売れなくなり、多くの会社が倒産したといいます。
大儲けしているときに、大儲けのネタから手を引けるかどうか。
「勝ちすぎないこと」も運を上げる秘訣なのです。