「これまで会社経営を優先してきた。だから個人資産は、かき集めても800万円しかなかった。もっと個人資産のことも考えたい」。これは数年前に、ある経営者の方と実際にした会話です。投資や資産運用と言っても、多くの手法や選択肢があります。本稿では、投資にはどのような領域があるのかを整理していきます。
知っておきたい3つの投資領域
投資や資産運用には、大きく分けると「不動産投資」「金融商品」「事業投資」の3つの領域があります。
不動産投資:マンション投資、アパート投資、オフィスビル投資、更地投資(ランドバンキング)、海外不動産投資(マンション、アパート、コンドミニアム、工場、ショッピングモール、更地、プレビルドほか)など
金融商品:国債、投資信託、株式投資、FX(為替)投資、定期預金、普通預金、外貨預金など
事業投資:起業、第二創業、新規事業の立ち上げ、M&A、事業の売買、フランチャイズ加盟、出資、海外進出など
また最近では、暗号資産(仮想通貨)のような比較的新しい投資もあります。
コツコツ型資産形成の王道「不動産投資」
不動産投資は、資産形成の王道とも言える投資領域です。
不動産投資には家賃収入(インカムゲイン)と売却益(キャピタルゲイン)以外にもメリットがいくつかあり、整理してみると以下のとおりです。
・少ない自己資金でもスタートできる(融資を活用することで資金面の融通が利く)
・管理会社など、仕組み化されているので手離れが良い
・生命保険と似た効果がある(団体信用生命保険)
・完済後は私的年金として老後不安の解消につながる
・火事や天災に遭っても土地は残る
換金性が高い投資「金融商品」
一方、金融商品の良い点は換金性・流動性が高いことです。「現金化しやすいこと」は、急にまとまったお金が必要になったときほどメリットに感じるでしょう。
その最たるものが預金で、預金も実は投資のひとつです。預金には、外貨建ての預金や海外の銀行口座の預金も含まれます。日本の場合、銀行にお金を預けても増えないわけですが、海外では必ずしもそうではありません。年5%ほどの利息が付く国はありますし、日本の郵貯もかつては数%の利息が付く時代がありました。
「それなら、金利の良い海外で口座をつくろう」と思うかもしれませんが、就労ビザや永住ビザを持たない外国人が口座開設することを公に認めている国はほとんどありません。
不動産や事業は、売りたいと思ってもすぐに現金化できるわけではありません。そういう意味では、金融商品は取り組みやすい投資先と言えるでしょう。
ドラマがある投資「事業投資」
会社経営も投資のひとつです。人を雇用したり商品・サービスをつくったりしますので、もっとも「ドラマのある投資」と言えるかもしれません。
最近は、M&Aや事業の売買がスタートアップ企業・中小企業の間でも盛んになっています。ゼロから新しい事業を立ち上げるよりも、すでに軌道に乗っている会社や事業を譲り受けた方が効率的、というわけです。
また、「ノウハウを買う」という意味では、フランチャイズ加盟による起業・新規事業の立ち上げも効率的です。しかし、加盟店から搾取することばかり考えているフランチャイズ本部も存在しますから、事業選びや本部選びには注意が必要でしょう。
自分なりの投資スタイルを見出そう
不動産投資、金融商品、事業投資と、さまざまな投資領域がありますが、それぞれ自分の性格やライフスタイルに合うかどうかを考えてみると良いと思います。
不動産投資で財を成した人は「不動産投資が最も優れている」と言いますし、金融商品で財を成した人は「金融商品が最も優れている」と言いますし、事業投資で財を成した人は「事業投資が最も優れている」と言うものです。自分に合うかどうかを見極めることが、幸せな投資ができ、投資で幸せになれるかどうかの分かれ道でしょう。
例えば、以下のような価値基準を持ってみても良いかもしれません。
・世界観を含めて投資先が好きか(親しい友人に話せるくらい好きか)
・長期保有できるか(長い視野で考えて価値上昇するか)
・投資したことを忘れられるか(値動きに一喜一憂しない)
・換金性・流動性は高いか(必要になったらすぐに現金化できるか)
・貢献性はあるか(世界や社会、地域に良いインパクトを与えるか)
当メディアを運営している株式会社オフィシャルインテグレートでは、ライフプランニングや資産づくり、会社経営、起業等に関する相談を随時受け付けております。オンラインによる個別相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。